天沼 裕子 Yuko Amanuma <協力アーティスト>

天沼裕子2

プロフィール

 埼玉県生まれ。東京藝術大学音楽学部作曲科卒業後、ハノーファー音楽演劇大学で指揮を学ぶ。1987年、同大学院在学中にオルデンブルク歌劇場のコレペテイティトーア兼指揮者となり、キャリアをスタートさせる。
1988年、オランダのヒルバースムで開催された国際指揮者講習会で岩城宏之の指導を受け、最優秀のエドゥアルト・ファン・ベイヌム賞を受賞。岩城氏の招きにより1989年、オーケストラ・アンサンブル金沢の初代常任指揮者に就任した。
 シュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭ではレナード・バーンスタインのアシスタント・ピアニストを務めた。また、武満徹が音楽監督を務めた「Music Today」に数年にわたり出演したほか、1995年度文化庁の新進芸術家海外研修制度として、ベルリン国立歌劇場やバイロイト祝祭劇場でダニエル・バレンボイムとロルフ・ロイター教授のもとでオペラの研鑽を積む。
 1999年には、若き日のリヒャルト・ワーグナーも在籍したドイツ・マグデブルク歌劇場のカペルマイスター(指揮者)に就任。作曲家としても成功を収め、2003年には歌劇場付作曲家に就任する。同年、同歌劇場を率いてヴェルディの歌劇《アイーダ》を東京、大阪、金沢をはじめ日本全国でツアーを行い、各地で大成功を収めた。
 指揮者として、日本、ドイツ、チェコ、ベルギー、フランス、ルーマニア、韓国、モロッコの各地に客演するなど、多方面で活躍している。2005年、ドイツ国立ヴュルツブルク音楽大学オペラ科主任およびコレペティトゥール科教授に就任。終身教授称号を得る。オペラ《トスカ》研究等に対し大学より数度表彰され、大学の元老委員会委員も務めた。また、ドイツ国内の声楽コンクール審査員として迎えられる。新国立劇場オペラ研修所では音楽主任講師を務めた。
 作曲家としては、室内楽やオペラの分野を得意とする。マグデブルクで初演したエドガー・アラン・ポー原作の室内オペラ《裏切る心臓》は大成功を収めた。同作品は2003年に新国立歌劇場とソウル国際室内オペラフェスティバルでも上演され、現在でもドイツの現代音楽週間等で再演されている。他にオスカー・ワイルド原作のメルヘンオペラ《バラとナイチンゲール》(マグデブルク歌劇場委嘱作品)がある。また、大聖堂のギムナジウムから委嘱された子供のためのオペラ「鳴かない鶏」を作曲し、2005年に開催されたマグデブルク市制1200年祭において、歴史ある大聖堂で満員の観客の前で初演された。