05.18
2016 ARTIST

【ここが聴きどころ!】ウィーン・スペシャル・ガラ ウィーン・フィル3人の首席奏者による夢の競演

6月5日(日)に開催される「ウィーン・スペシャル・ガラ ウィーン・フィル3人の首席奏者による夢の競演」をお楽しみいただけるよう、音楽評論家の松本學さんによる聴きどころをご紹介します!
top_ウィーン・スペシャル・ガラ
<ここが聴きどころ!ウィーン・スペシャル・ガラ ウィーン・フィル3人の首席奏者による夢の競演>

 世界で最も人気のあるオーケストラといえば、やはりウィーン・フィルだろう。ニューイヤー・コンサートでも名高いこの老舗楽団は、出演している楽団員さえも公演のチケットが入手困難なほど世界中から愛されている。
 その指揮台には、古くはニキシュやマーラー、ワルターにフルトヴェングラーから、ベーム、カラヤン、クライバー、バーンスタイン、アバド、そして小澤征爾など、歴史に残る屈指のカリスマ指揮者たちが綺羅星のごとく登場してきた。楽団員たちも同様に有名で、コンサートマスターだけでも、マーラーの妹婿でもあったロゼやシュナイダーハン、バリリ、ボスコフスキー、ヘッツェル、キュッヒルなど、凄腕たちの名が並ぶ。
 この錚々たるコンサートマスターの歴史の中に、初めて女性で選ばれたのが、アルベナ・ダナイローヴァである。ブルガリアの首都ソフィアで音楽一家に生まれ、バイエルン州立歌劇場管弦楽団やロンドン・フィルの同ポストも務めてきた折り紙付きの名手だ。その腕前を認めたウィーン・フィルは、オーストリアのアンゲリカ・プロコップ民間財団が同楽団に貸与している“Ex ベンヴェヌーティ”という、アントーニオ・ストラディヴァリが晩年に製作した銘器中の銘記を彼女に担当させている。
 ダナイローヴァによれば、この楽器は安定していてとても弾きやすく、反応も素晴らしいとのことで、G線の暗く深い低音と、E線の輝かしく明るい高音との鮮やかなコントラストも魅力だという。
 今回、彼女とともにウィーン・スペシャル・ガラ・コンサートに出演するのは、地元オーストリア生まれの首席フルート奏者カール=ハインツ・シュッツと、オーストラリア出身の首席ヴィオラ奏者トバイアス(トビアス)・リーの2人。シュッツはシュトゥットガルト・フィルやウィーン響の首席を経て現職にある。また、ウィーンとベルリンのスターを集めた名門、アンサンブル・ウィーン=ベルリンの新メンバーとしても活躍中だ。
 リーは彼らの先輩で、97年からウィーン・フィルの首席を務めている。今回演奏するモーツァルトの協奏交響曲は、実は彼がソリストとして日本で初めて弾いた作品なので、その思い出の曲を、今度は次世代コンマスとともに、どのように披露してくれるのか興味深い。
 なお、シュッツはダナイローヴァと同い年で入団時期も近く、リーは彼女とともにウィーン室内アンサンブルのメンバーでもある。かように気心の知れた仲間たちが奏でる、ウィーンの情緒と現代の高度な演奏テクニックのミックスされた妙味を、たっぷりとご堪能いただきたい。
―松本 學(音楽評論家)
i_gara16_flier_f_ol
ウィーン・スペシャル・ガラ ウィーン・フィル3人の首席奏者による夢の競演

日時:2016年6月5日(日)13:30開演
会場:Bunkamura オーチャードホール
曲目:
モーツァルト:フルート協奏曲 第1番 ト長調 K313
モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K364
ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調「新世界より」op.95

チケット:
S¥9,800 A¥8,800 B¥7,800