04.01
2016 ARTIST

【ここが聴きどころ!】サー・ネヴィル・マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団 vol.3

サー・ネヴィル・マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団の最後の来日ツアーをお楽しみいただけるよう、演奏曲の解説をご紹介!
今回は聴きどころ第3弾、「ヴォーン・ウィリアムズ:トマス・タリスの主題による幻想曲」の解説をご覧ください。

ヴォーン・ウィリアムズ:トマス・タリスの主題による幻想曲

 イギリスの国民主義音楽を代表する作曲家ラルフ・ヴォーン・ウィリアムズ(1872−1958)が、1910年に書いた作品。有名な「グリーンスリーヴスによる幻想曲」と同系の曲であり、遅咲きの彼にとっては、38歳の年にようやく生まれた出世作でもある。なお同年に初演後、1913年と19年に改訂された。
 タリス(1505頃−1585)は、チューダー王朝時代に活躍した、“イギリス教会音楽の父”と呼ばれる作曲家。ヴォーン・ウィリアムズは、「イギリス讃美歌集」を編纂した際に知ったタリスの旋律(カンタベリー大僧正のための作品)に惹かれ、そのフリギア旋法(ホ音を基音とした7音音階)の主題に基づく本作を作曲した。
 大きな特徴は、弦楽四重奏と2つの弦楽合奏群から成る特殊な編成。しかも、第1合奏は通常の弦5部だが、第2合奏は弦4部各2人とコントラバス1人の9人で構成される。これが、古い時代の教会で会衆が交互に歌った「交唱」、あるいはオルガン的な効果を生み出し、各群の単奏、応答、全奏のミックスによって、デリケートな肌合いと神秘的な美しさが醸し出される。
 曲は、全体にゆったりと進行。導入部に続いて「グリーンスリーヴス」に似たタリスの主題が呈示され、2つの弦楽群がこれを発展させた後、四重奏に移される。やがてヴィオラ独奏でタリスの主題から派生した副次主題が登場。主題の断片や変形が組み合わされながら、対位法的な展開を続け、荘重なクライマックスを形成後、静かに消えていく。
(音楽評論家・柴田克彦)
マリナーが「皆さんにイギリスの作曲家による曲を楽しんでいただきたい」との思いで、今回演奏が予定されるこの作品。
弦楽の美しい調べをお楽しみください!

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日時:2016年4月9日(土)14:00開演
会場:東京オペラシティ コンサートホール
曲目:
プロコフィエフ:交響曲 第1番 ニ長調「古典交響曲」op.25
ヴォーン・ウィリアムズ:トマス・タリスの主題による幻想曲
ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 op.92

チケット:
全席指定 S¥22,000 A¥20,000 B¥18,000(残席僅少) C\16,000(完売)